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第645回「不安な点は除去するが、安定は求めない」(高島陽物語25)
東京オリンピックが開催されたのは
昭和39年のことですが、その年、41歳であった
高島陽さんは、大商証券の取締役を辞任しました。
高島さんはその後、当時のことを振り返り、
次のように書いておられます。
「私は昭和34年から39年までの5年間、
資本金40億円の会社の取締役をつとめたことがあるが、
一生のうちで、あの時が一番不安だった。
何しろ病気で会社を休もうと。
少しくらい仕事をなまけようと、
毎月25日には必ずかねをくれるのだから、
とても不安だった。
『これでは今におれはだめになっちゃいんじゃないか。
おれは一生こんな生活から抜けられないんじゃないか』
と、心配でたまらなかった。
昭和39年の11月に会社をやめることができた時、
ホッとしたものだ。
常に不安を排除する。
これは当然のことだろう。
むしろ、大切な本能の一つと思う。
といって、安定を維持しようと考えるのは得策ではない。
もともとこの世に不安定はあっても、
安定は存在しないからだ。
(もし、安定があったら、神様も失業してしまう。
この点、神様は抜け目ない)。
商売するにも、株式也投資をするにも、
ここのところをよく頭に入れておくことだ。
これが出来たら、七分通り成功したものと
言ってよいだろう。
少なくとも、百%他人や自分自身を信用して
失敗するようなことは避けられる。
とにかく、どうせ、存在しない安定を求める暇があったら、
少しでも、自分の周囲にある不安を除くことが賢明だと思う。」
(『1億総素人時代』)
私なども不安定な要素は極力除こうとします。
しかし、世の中は変動極まりないものですから
この不安定なるものといつも
付き合っていかなければなりません。
そう思う人間にとって、上に述べられた高島さんの考えは
生きていく上で大きな指針になるように思います。
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執筆者:戸田敦也(2007年05月22日)
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邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。
■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: atsunaritoda@gmail.com

