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第644回「41歳のとき経済評論家として独立」(高島陽物語24)

「ハイハイQさん」での邱永漢さんの連載を
まとめた本の一冊に『独立を考えていますか』と
いう本がありますが、サラリーマンの独立を
テーマにした邱さんの最初の本は『サラリーマン出門』です。

この本にも高島陽さんのことが書かれています。

「高島陽さんがまだ大商証券の取締役だったころ、
週一回くらい一緒になった
その一週間に2人が仕入れた知識やそれに対する
感想を互いにたしかめあったが、
ふたりともざっくばらんだから、
ある時、高島さんがサラリーの計算書を見せてくれた。

当時は証券界はなやかなりし時代だったから、
かなりのサラリーをもらっているものと私は思っていたが、
私の考えている金額の半分以下だったので、
びっくりして、『いい加減やめたらどうですか。
自分で仕事をやったら、次の月から
この倍くらいの収入になりますよ』
と私はすすめた。

『やめたい、やめたいといっているんですが
社長がなかなかやめさせてくれないんですよ。
責任のあるポジションだけはやめさせてもらったのですが・』
と高島さんはいった。

運転手付の自動車を一台あてがわれているのだけがとりえで、
高島さんは原稿を書いたり、調査のための会社まわりを盛んにやっていた。
これらの仕事は、それを本職としておれば、
いずれもお金になる知識産業の一種であるが、
証券会社の重役という肩書きを持っていたのでは、
金をもらえないか、もらってもほんのわずかだけである。

私が次の月からすぐ倍になりますよ、
といったのは、こうした実情を考えあわせたうえでのことである。

やがて証券界が不況になり、
高島さんは念願がかなって、
独立して経済評論家になった。
帝国ホテルで友人が集まって
『高島陽を励ます会』を開いたが、
本当に私が予想した通り翌年には所得倍増が実現した。
今では多分そのまた倍増くらいにはなっているだろが、
これすべて独立にふみきったおかげなのである。」
(邱永漢『サラリーマン出門』。昭和45年)

高島さんが証券会社をやめて独立したのは
昭和39年(1964年)のことで、
大正12年(1923年)生まれの高島さんが
41歳になられてのことになります。

後年、邱さんは独立は40歳がラスト・チャンスと
かおっしゃるようになりますが、この高島さんの
独立も頭に入れての判断だと思います。



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執筆者:戸田敦也(2007年05月21日)

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■戸田 敦也 (とだ・あつなり)
toda.jpg 邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。

■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: atsunaritoda@gmail.com