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第632回 「材料で株を買うと大損する」(高島陽物語11)
「株屋」(今の証券会社)の店頭係りであった
高島陽さんは、先輩から「アームを薦めろ」
との言に従い、何をする会社か知らないままに,
アーム株を買い、お客に薦めます。
それまで、お客に薦めていた株が
順調にあがっていたので、
お客は高島さんの誘いに乗って
アーム株を買ったそうです。
(昭和24年)8月にアーム株は
70円していましたが、9月に90円になり、
高島さんもお客も上機嫌でした。
ところが10月になると、急落して
あれよあれよと言う間に50円になり、
その時点で高島さんはナンピン買いしますが、
12月になると32円になりました。
いてもたってもおれず、高島さんは
この株を薦めた課長に
アームって何をやる会社ですか
問い詰めよると、課長は
次のように反応しました。
「さもアキレタというような顔をして
『お前まだそんな株持っていたのか。
アームなんて何をやっているか俺も知らんが、
とにかく室蘭に戦艦大和を作った
一万トンプレスという馬鹿でかい機械を
もっているんだそうな。
それが何かの材料になると聞いて
お前に薦めたのだが、どうせボロ株に違いないんだから
早々に投げないとお前ひでえことになるぞ』と言った。」
(『現代の兵法』)
その時、お客から、一体どうなるんだと責められ、
高島さん自身も大損し、一大ピンチです。
大半のお客さんは高島さんの説明が
余りに頼りないので、その時点で投げてしまいます。
この一件は高島さんが株の世界に入って
はじめて経験する最大の痛恨事で、
「株というものは材料や早耳で買ったり
買ったりするととんでもないことになる」
ということを思い知ることになったと
後年高島さんは述懐されています。
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執筆者:戸田敦也(2007年05月10日)
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邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。
■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: atsunaritoda@gmail.com

