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第631回 「先輩が薦める株をヒタスラ客に買わせる」(高島陽物語10)
昭和23年、25歳の高島陽さんは
小さな証券会社の店頭に来るお客さんの
お相手をするようになりますが、
この頃、株を買う根拠はいつも新聞材料で、
早耳でいち早く材料を仕入れると
儲かったのだそうです。
「商社の人にお得意を持っていた営業部長が
外回りから帰ってくると、さあっと皆がその周りを囲んだ。
その人がいそいそと買い伝票を書き始めると
皆はそれを盗み見して、直ぐ自分達も買い伝票を出した。
すると見るみるうちにその株の値が上がりだした。」
(『現代の兵法』)
ただ、高島さんは店頭でお客さんの相手をしていて
後ろの方でエライ人たちが話している
新しい材料を耳に入れることはできないし、
新聞にいろいろ材料はでていても、
ならどの株を買ったらいいのかの判断が
つきませんでした。
そこで、8月のある日、場立ちの一番エライ課長から
仕事を言いつけられたのを絶好のチャンスと考え、
いわれた仕事を早々と片付け、食事に誘い、
「実は、あるお客さんえらく損をかけているのですが、
一回で挽回するような株はないものでしょうか?」
と懇願します。
その時、課長は「アームを薦めてみろ」と答えます。
アームというのは日本製鋼所の前身の
であることは高島さんも知っていましたが、
それがどこで何を作っている会社か全く知らず、
それを聞くのですが、課長は
「とにかくアームを買わせろ」の一点。
そこで高島さんは言われるままに、
後場に入ってその株を買い、お客さんに
片っ端からアームを買わせました。
お客さんから「アームって何だ」と聞かれますが、
何も知らないので、答えることができません。
「うちのエライ人からの特別の情報だから上がる筈」
と高島さんは返答しました。
この話は明日に続きます。
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執筆者:戸田敦也(2007年05月09日)
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邱永漢思想研究家。経営コンサルタント。問題解決・意思決定の研修講師。昭和18年3月生まれ。昭和40年、東京大学経済学部卒業。同年、八幡製鉄(現新日鉄)入社。平成6年、新日鉄部長を経て、研修業に転じ、現職。以来、邱永漢作品のエッセンス本『原則がわかれば生き残れる』、『アジアの曙』、『生きざまの探求』、『新・メシの食える経済学』(以上、グラフ社)を編集、解説。平成13年『あなたも賢者になれるー私は邱永漢さんの知恵を借りた』(グラフ社)を刊行。邱永漢思想の探求をライフワークとし、その一環として、各地でセミナーを開催。「株式投資の原則」などの通信セミナーも実施。
■戸田敦也さんへのメールはこちらまで: atsunaritoda@gmail.com

